「保存手話」の説明

 年々、耳の聴こえる、聴こえないを問わず、手話の世界に新しく参加される方が大勢おられます。
 日本手話研究所では年に200〜300語の「新しい手話」を確定し、普及を行う事業を行っております。この「新しい手話」について、いくつかの機会に説明してきましたが、タイトルを「新しい手話」とすることによって、生まれた誤解があるようです。
 「新しい手話」の確定については、2種類のパターンがあります。

1.日本語など音声語から、手話を創作する「創作手話」
2.以前からある手話に、日本語ネームを確定する「保存手話」

 1.の創作手話についての理解は広まっていますが、2.保存手話については、誤解されたままご質問やご意見をいただくことが度々あります。
 そこで、いくつかの例を引いて説明させていただきます。例えば、

①「処刑」…罪人を刃物で処刑する表現
①「処刑」

 この表現について「今のご時世、電気椅子のため、表現がなじまない」というコメントをいただいたことがありますが、これは手話単語を新しく創作したのではありません。
 まず、手話は以前からあり、今も使われています。しかし、これに対応する音声日本語がなかったのです。そこで、この手話に「処刑」という音声日本語のネームを付けて、手話と音声日本語の対応関係を確定したのです。

②「一石二鳥A」…両手で<お金>儲ける表現
②「一石二鳥A」

 この手話には「<お金>を縦にすると、意味不明」というコメントをいただきました。ただ、これも手話は以前からあり、今も使われています。しかし、これに対応する音声日本語がなかったのです。そこで、この手話に「一石二鳥A」という音声日本語のネームを付けて、「処刑」と同様に手話と音声日本語の対応関係を確定したのです。

 これらの例に表れた手話を「保存手話」と命名しています。
 このような例から、日本語に対する手話が適切かどうかを問題にするのでなく、手話に対して新しく付けた日本語のネームが適切かどうかが、問題になると考えています。

 以上のことをご理解頂きました上で、皆さまの忌憚なきコメントを下さいますようよろしくお願いします。
 こちらも、保存手話と創作手話を明確に区別しなかった例がいくつかあったと思います。今後「新しい手話」とするだけでなく、「保存手話」と「創作手話」を明確に区別して示すように留意して参りますので、ご理解ご支援のほどよろしくお願いします。

日本手話研究所 所長
髙田 英一

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